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ニッセイ緑のオンライン環境講座⑥~イチョウ、ヒノキ・サワラ類~(講師:林 将之氏/樹木図鑑作家)

《テーマ》学校の樹木トップ20紹介⑥『イチョウ、ヒノキ・サワラ類』



赤色の紅葉が美しい木ナンバー1を選ぶのは悩みますが、黄色の紅葉のナンバー1といえば、イチョウ(銀杏)で決まりでしょう。それくらい、イチョウは秋の黄葉(こうよう、おうよう)が美しく、日本で古くから愛されてきた木です。



大気汚染や火災にも強いので、街路樹の本数も全国ナンバー1で、東京都、大阪府、神奈川県の都府県の木にも指定されています。そんなイチョウが、ニッセイ緑の財団による学校の樹木プレート設置数ランキングで、第6位に入りました。



6位と聞くと、意外に低いように思いますが、このランキングは「カエデ類」「マツ類」のように総称でカウントしたもので、単独の名称でカウントすれば、イチョウは第1位です。いわば、どの学校にもたいてい1本はある存在です。



独特のおうぎ形の葉っぱや、整った三角形の樹形も、イチョウが好まれる理由でしょう。数ある木の中でも、イチョウだけは葉っぱの形で名前がわかる人が多いはず。それくらい個性的な葉で、東京都のシンボルマークになっているほか、学校の校章にイチョウの葉が用いられている例も多いようです。



では、イチョウの葉っぱは、真ん中に切れ込みがある形と、ない形、どちらが多いと思いますか?



実は、若い木や、勢いよく伸びた若い枝ほど切れ込みのある葉が多く、大きな木や、花実がつく枝ほど切れ込みのない葉が多くなります。



ですから正解は、大人の木に多い「切れ込みがない葉」と言いたいところですが、町中でよく目にするイチョウ、すなわち街路樹や校庭に植えられたイチョウでは、木が大きくなりすぎないように頻繁に枝を切られている場合が多いので、若い枝が多く、「切れ込みがある葉」が多くなります。特に、幹の根元から生えた枝では、深い切れ込みがたくさんある葉もよく出現します。つまり、どちらの葉が多いかは条件によって異なるということです。



ちなみに、切れ込みのある葉がオス、ない葉がメス、という俗説がありますが、これは間違いです。ただ、イチョウの木にオスとメスがあるのは事実です。そして、メスの木は秋に食べられる実(ギンナン)がなることが、もう一つの魅力です。茶碗蒸しによく入れられる秋の味覚の一つですが、種子の周りの黄色い皮には異臭があり、皮ふにつくとかぶれることもあるので、嫌われる一面もあります。



そのため、街路樹や公園、おそらく校庭でも、ギンナンのならないオスの木が植えられることが多いのです。もし、ギンナンのなるイチョウの木を見つけたら、くさいと言わずにラッキーと思ってくださいね。



さて、イチョウのような三角形の樹形になるのは、針葉樹によく見られる特徴です。イチョウは葉が広いので針葉樹とは呼びませんが、針葉樹と同じ裸子植物に含まれます。たとえば、ランキングで16位に入ったヒノキ・サワラ類や、22位のメタセコイアも、三角形の樹形になる針葉樹です。特にメタセコイアは、葉の形こそ全く異なりますが、冬に葉を落としたシルエットはイチョウとそっくりです。



メタセコイアもイチョウも、「生きた化石」と呼ばれることがあり、野生状の木は中国の山奥にわずかに見られるのみですが、両種の仲間の化石は、日本を含む世界各地で見つかっており、かつては大繁殖していたといわれます。そう考えると、今の日本にイチョウがたくさん植えられていることは、まるで太古の地球が再現されているようで、感慨深く思うのです。

(林将之/樹木図鑑作家)



★当シリーズのこれまでの講座について

《前回(第5回)講座》https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3342030502496629

※前々回以前の講座は上記URLよりご確認いただけます。



★講師について

当講座の講師の林将之氏は、当財団が2019年度より全国の小・中学校等に提供している「学校の木のしおり」の作成に携わっていただいております。



★「学校の木のしおり」の提供について

ニッセイ緑の財団では、現在学校の木のしおりの活動実施校を募集中です!

ご興味のある方は以下URLより募集ビラ・募集要項をご確認の上当財団宛にお申込みください(お申込みはメール・FAXどちらでも可能です)。

(HP記事)

http://www.nissay-midori.jp/topics/details/776

(FB記事)

https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3263263873706626

※当講座については『毎週木曜日』に登載予定です!



 



1:イチョウの黄葉。澄んだ鮮やかな黄色で、息をのむほど美しい。





2:大阪・御堂筋のイチョウの街路樹。丈夫な木なので都市植栽に向く。





3:冬の街路樹のイチョウ。枝を切られたあとが目立つが、縦長の三角形になる。





4:都営地下鉄の看板。イチョウの葉に似た東京都のシンボルマークが目立つ。





5:イチョウの葉は、他に類を見ない独特なおうぎ形で見分けやすい。





6:根元から生えた枝(ひこばえ)には、深い切れ込みが5つ前後ある葉も多い。





7:若いギンナン(銀杏)。実がつく枝の葉は、切れ込みがないのが普通。





8:落ちてつぶれたギンナン。悪臭を放ち、舗装も汚れるので管理者から嫌われる。





9:ヒノキの園芸品種オウゴンチャボヒバの庭木。校庭にもよく植えられる。





10:メタセコイアの樹形。葉は柔らかい羽形で、秋にレンガ色に紅葉する。




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