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《森の植物の歳時記》[277]【ヤマボウシ(山法師)】
初夏の頃、低山の山肌を雪が降ったように白く彩って咲き乱れます。近年では公園樹、庭園樹としても人気の植物です。
地域によっては、田植えの頃に咲き、農作業暦の目安とされたりもします。
自然樹形があまり乱れることがありませんので、剪定も乱れた枝を切る程度で済みます。
白い花びらのように見えるのは苞葉(ほうよう)です。その上に20~30個集まっている花を保護しています。集まっている粒々の一つずつが花ですので、各々、萼、花弁、雄しべ、雌しべを持っています。機会がありましたらじっくりご覧になってみて下さい。
この白い苞葉を法師(僧兵)の白い頭巾に見立てたことに由来する名と言われています。
苞葉は葉が変化したものといわれており、つぼみのころには緑色をしています。時間の経過とともに、白くなります。目立たない花を目立たせるための花の戦略と説明されることもあります。
花が終わると丸い果実ができます。花が集合していましたので、くっついて一つの果実のように見えますが、一つの花に一つの種子ができて、果肉の部分が癒着している状態です。
秋に赤く熟す果実は甘くて人気です。
ヤマボウシ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)