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《森の植物の歳時記》[257]【ヒメウズ(姫烏頭)】
畑や人家周辺から山間部まで広く見られます。少し日当たりの悪いような場所でも生育しますが、耕されたりしたような地面は苦手のようです。林縁部などに多く見られるのはこうした理由と思われます。木漏れ日が期待できるような林内で花を咲かせることもあります。
トリカブトの仲間の根を乾燥させたものを、生薬で「烏頭うず」と呼びます。葉や塊茎(養分を蓄えた地下茎)がトリカブトに似ていて、全体が小さいことから、ヒメウズ姫烏頭と呼ばれるようになったとの説があります。
トリカブトの仲間がアコニチンやアルカロイドなどの有毒成分を含んでいるのに対して、ヒメウズはさほどの有毒成分は確認されてはいません。それでも草の汁が皮膚に付着したりすると、人によっては皮膚が炎症を起こすことも報告されていますので、要注意です。
春早い時期から、細い茎を伸ばして繁茂します。5㍉ほどの白い花を、下に向いて咲かせますので、気づかないで通り過ぎる方も多いでしょう。ちょっと足を止めて、花を覗いてみて下さい。種子も0.7×1.2㍉と小さいのですが、裂開した果実に付く姿はちょっとユーモラスとおっしゃる方もあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ヒメウズ