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《森の植物の歳時記》[256]【アオモジ(青文字)】
花屋の店先で帯緑色の小さい粒を沢山つけた枝が売り出される季節です。アオモジの蕾です。蕾の色が黄色味を帯びてくると、中に抱き込まれている数個の花が一気に開花します。
クロモジという木肌が黒味を帯びて、楊枝にされることで知られている木があります。クロモジに対して、帯緑色の木肌でアオモジと言われています。クロモジ同様、アオモジも楊枝にされます。
雌雄異株ですが、花屋さんに出回るのは花が多くつく雄株です。
蕾に香りはないのですが、蕾を潰して嗅いでみると柑橘系の香りがします。
花後、結実して、黒く熟す果実は鳥が食べて、種子を散布します。
この果実を原料としたエッセンシャルオイルも売り出されています。レモンやレモングラスの香りに喩えられるような爽やかな香りです。
本来は九州地方の山に多く見られるものですが、切り花として栽培されたり、お庭に植えられたりしたものから、野生化して、他地域の雑木林などで繁殖しているのが見られるようになっています。
早春の雑木林の一角で、華やかに存在感を誇示しているように見えます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
アオモジ
アオモジ つぼみ