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《森の植物の歳時記》 [240]【タラヨウ(多羅葉)】別名 ハガキノキ(葉書の木)
タラヨウは葉裏に文字が書けることで知られています。爪楊枝などで葉裏に絵や文字を書くと、その部分が茶色く浮き上がってきます。
タラヨウの葉はタンニンを多く含みます。葉に傷をつけることで、酸素がタンニンに働いて酸化し、文字が浮かび上がります。
葉に文字を書くことから、「葉書き」の語源になったとの説もあります。
インドでは、古い時代、バイタラジュ(貝多羅樹)というヤシの仲間の葉に経典を書いていました。それに擬えて、葉に経文などを書く葉で、タラヨウと呼ばれたとされています。
経文に関わるからでしょうか、寺院に植えられているのを見かけます。庭園樹として植栽されることも多いようです。
1997(平成9)年、「郵便局の木」に制定され、シンボルツリーとして各地の郵便局に植樹されました。
切手を貼れば送ることもできますが、「第一種定形外郵便物」になりますので、送料は120円かかります。切手が剥がれないように工夫も必要です。
雌雄異株で、5月頃、薄緑色の小さい花を咲かせます。雌株は結実して、果実は冬に赤く熟します。年が明ける頃、鳥が一晩で食べ尽してしまい驚かされます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
タラヨウ