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《森の植物の歳時記》 [205]【フシグロセンノウ(節黒仙翁)】 別名 オウサカソウ(逢坂草)
日本在来の植物で、明るい林内や林縁などの半日蔭を好んで咲きます。
1300年ころ、留学僧が中国から持ち帰ったとされている園芸植物にセンノウ(仙翁)があります。ナデシコの仲間で、かつて京都の嵯峨にあった仙翁寺に因む名とされています。室町時代の文献に仙翁花(せんのうげ)と記されていますが、現在ではほとんど見ることはないようです。
このセンノウと同じナデシコの仲間で、茎の節の部分が少し膨れていて、紫褐色を帯びていることからフシグロセンノウ(節黒仙翁)と呼ばれています。
センノウが花弁に切れ込みが多いのに対して、フシグロセンノウの花弁は先端が丸みを帯びており、ほとんど切れ込みはありません。
別名のオウサカソウ、オウサカバナは、逢坂峠(山城国と近江国との国境にあった峠)附近に多く咲いていたことによるとされています。
大振りな花と華やかな花色で目立ち、人気の山野草の一つなのですが、反面、盗掘されることも多く、自生地では数を減らしています。地域によっては、絶滅危惧種に指定して保護しておられるところもあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
フシグロセンノウ