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《森の植物の歳時記》 [203] 【タマアジサイ(玉紫陽花)】 別名 ヤマタバコ(山煙草)
日本在来のアジサイの仲間ですが、梅雨を象徴するように咲く一般のアジサイよりも一月以上後から咲き始めます。
山地の谷間で水がしみ出しているような、比較的水分の多い場所を好んで生育しています。
多数の花を白い苞葉(ほうよう)が包み込んで、蕾が球形をしていることが名前の由来です。
花はガクアジサイ同様、淡い紫色の両性花の周りを白いガク(萼)の目立つ装飾花が取り巻きます。一般のアジサイのように、花色の変化はありません。
茎、葉も含めて、全体に短毛が映えています。特に葉には両面に硬い毛が生えていて、ちょっと手を出すことをためらう方もあります。茎は成長すると共に、薄い樹皮が剥がれます。
かつてはタバコの代用品として使われたり、タバコの混ぜものに使われたりしていたようです。ヤマタバコと呼ばれた所以です。
庭木として植えられることは少なかったのですが、近年、造園木の好みが多様化して、庭植えされる方もいらっしゃるようになっています。
猛暑にも負けず、緑の中で咲く薄紫の花は、ちょっと足を止めたくなる魅力があります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)