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《森の植物の歳時記》 [142] 【スイセン(水仙)】
ギリシャ神話に残るナルキッソスの話は有名です。泉に映る自分自身の姿に恋こがれました。かなわぬ恋に憔悴したナルキッソスが死ぬと、泉のほとりには、スイセンが水面をのぞき込むように咲いていたという話です。
ナルキッソスの伝説は、精神分析でいうナルシシズム(自己愛)に、また、『自己愛』(英)、『愚かさ』(仏)という花言葉にもつながっています。スイセンの仲間はいろいろあります。ナルキッソス亡き後、泉のほとりに咲いたのはどのスイセンなのでしょうね。
いろいろあるスイセンの仲間ですが、一番身近で親しまれているのはニッポンズイセンでしょうか。
ニッポンズイセンは地中海地域が原産の植物で、シルクロード、中国を経て、平安時代頃に伝えられたとされています。日本国内では、海岸沿いに群生地があることなどから、海流に乗って分布を広げたという説が有力です。
福井県越前海岸、兵庫県淡路島の灘水仙郷、静岡県伊豆下田の爪木崎、千葉県鋸南町などが知られています。いずれも海に面した斜面地です。
有毒植物ですので、ニラとの誤食には注意が必要です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ニッポンズイセン
以下、スイセンの仲間