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《森の植物の歳時記》 [101] 【ワタ(綿)】
ワタと聞いて、植物をイメージできる方は少ないかもしれません。オクラやフヨウなどと同じ仲間の植物で、種子に生える長い毛が綿になります。
紀元前6000~5000年頃から世界各地で栽培されていたと推察されています。インドや南米では、紀元前2500年頃の遺跡で綿製品が発見されています。
日本への本格的な伝来は15世紀中頃です。三河国(愛知県)に種子が渡来し、三河国を中心に栽培が盛んになったようです。江戸時代までは国内で栽培されていましたが高級品で庶民に普及はしていませんでした。明治以降、安価な外国産が入ってくるようになって、綿は普及しましたが、国内での栽培はほとんどなくなりました。
現在も国内での栽培は僅かですが、花の魅力や飛び出した綿の姿が人気で、園芸的に栽培されているのを見かけます。
花は白色、淡い黄色、黄色と、品種によって様々ですが、一日花で、朝咲いた花は夕方頃になるとちょっと赤みを帯びてきます。
花後、結実した果実は11月頃に熟します。果実が裂開して出てくる種子の毛が綿になります。種子は綿実油を搾油したりして利用されます。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)