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《森の植物の歳時記》 [90] 【ワルナスビ(悪茄子)】
道端や荒地などで、ナスによく似た花が咲いているのを見かけることが多くなっています。北アメリカ原産の植物、ワルナスビです。ナス?と思って不用意に手を出すと、葉の中央脈上や茎にある鋭い刺に刺されることになりますので要注意です。
明治時代末、千葉県三里塚で牧草に混入して入って広まったとされています。昭和初期、牧野富太郎博士が三里塚で採取して自宅庭に植え、ワルナスビと呼んでおられたとの話が伝わっています。オニナスビ、ノハラナスビなどの別名もありますが、あの刺の痛さを知ると、やはり悪茄子でしょうね。
鋭い刺があることで、畑や牧草地の害草として扱われています。
花を見ることは多いのですが、果実を目にする機会はあまりありませんでした。近年、果実を見かけた方から「これは何?」と聞かれる機会が多くなっています。花はナスそっくりなのですが、果実は球形で黄色に熟します。
多年草であることに加えて、根茎の断片でも増えることが可能なので、結実しないでも分布を広げることは十分に可能なのでしょう。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)