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《森の植物の歳時記》 [89] 【ミソハギ(禊萩)】
お盆を迎えるころ、やや湿った場所に鮮やかなピンクの花を咲かせます。ハギという名前がついていますが、秋の七草に数えられているハギ(萩)とは関わりのない植物です。
みそ萩の 花さく溝の 草むらに 寄せて迎火 たく子等のをり 若山牧水
名前の由来は諸説あるようですが、お盆に帰って来られる先祖霊をお迎えする精霊棚(盆棚)をこの花に含ませた水で清めていたことから、「みそぎ萩」がミソハギになったという説があります。水辺に生えることから「水萩」「溝萩」から転じたという説もあります。
昔からお盆の仏前にお供えする花は、野生の花であること、お盆のころに咲いて色鮮やかであること、咲いている期間が比較的長いことなどが求められていました。このような条件を満たしているミソハギは、お盆には欠かせない花だったのでしょう。
「精霊花」「盆花」「盆草」など、お盆の行事にまつわる地方名も多く見られます。
野生の花というわけにはいきませんが、お盆が近くなると、花屋さんの店先でもミソハギが売られます。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)