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《森の植物の歳時記》 [88] 【ムクゲ(木槿)】

夏を彩る花の一つがムクゲです。原産地は明確にはなっていないようですが、奈良時代には中国から渡来していたようです。丈夫で育てやすいこともあり、平安時代には、既に生垣などとして普及していたと思われています。

漢名である「木槿」がモッキン → モクキ → モクゲ → ムクゲと転化したと考えられています。

道のべの木槿(もくげ)は馬にくはれけり

芭蕉の『野晒紀行』にある句です。昔から生垣などに普通に植えられ、どこででも育つ木として知られていたことが推察されます。

花色は白や紫などいろいろあり、更に、一重咲き、八重咲きなど、変化に富んでいますが、早朝に咲いて、夕方には閉じる一日花です。儚い栄華を「槿花(きんか)一朝の夢」と表現されることがあります。ムクゲの花の儚さ故の表現です。

白い花で、花の底の部分が濃紅色の一重咲きを「宗旦木槿(そうたんむくげ)」と言います。千利休の孫、現在の茶道三千家の祖といわれている宗旦が好んだことからの名と言われています。早朝から行われる朝茶事の茶室を飾ることの多い花です。



廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)




















































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