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《森の植物の歳時記》 [86] 【ヤブミョウガ(藪茗荷)】
葉がミョウガの葉に似ていることからの命名ですが、ツユクサの仲間で、ミョウガとの関りはありません。
初夏のころから、ちょっと湿った林床を埋め尽くすように咲く花は息を呑むような存在感があります。一つずつは1㌢にも満たない小さい白い花ですが、雌しべが目立つ両性花と雄しべが目立つ雄花があります。いずれも一日花なのですが、次々咲きますので、8月頃まで、ずっと咲いているように見えます。
花が終わると次々に球形の果実を作ります。果実ははじめ淡緑色で、次第に白色から青紫色に熟します。次々咲いて、次々熟しますので、長くいろいろな過程の色を楽しむことができます。光沢のある青紫色の果実からは思いもしないような薄茶色でちょっと角張った種子が出てきます。種子は2×2.5㍉と比較的大振りで、意表を突かれます。種子繁殖に加えて、地下茎でも繁殖しますので、場所によっては大きな群落を形成します。
多年草ですので、地上部は冬には枯れて春の訪れを待ちます。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ミョウガ
ミョウガ