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《森の植物の歳時記》[66] 【キンラン(金蘭)】
【キンラン(金蘭)】
キンランは雑木林が新緑に覆われる頃、林の中で咲きます。日本在来のランの仲間で、かつての雑木林では普通に見られたようですが、雑木林が荒れてしまった現在では、生育数は激減しているようです。開発の進む団地の中の鎮守の森で、どなたかが枯れ枝で保護して下さっていたキンランが印象的でした。
黄色い花は完全に開くことは少なく、半開きの状態のものを多く見かけます。唇弁と呼ばれる花弁の一枚に複雑な模様があり、虫を呼ぶ蜜標になっています。虫が花の中に潜る足場にもなるようです。
雑木林の落葉が作る腐葉土の中で育つ菌類は、ランの仲間が育つために重要な役割を担います。ランの仲間は、各々、特定の菌類と共生関係を結んで育ちますので、移植は困難です。種子も0.2×1.2㎜と微細で、自ら発芽するための栄養を持ちませんので、自生地の菌類に頼るしか術がありません。やはり野に置けということでしょう。
同じような環境に生育して、白い花を咲かせるギンラン、ササバギンランも森の中で息を吞むような存在感があります。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ギンラン
ササバギンラン