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《森の植物の歳時記》[65] 【ホオノキ(朴の木)】
【ホオノキ(朴の木)】
初夏の雑木林の林縁を彩る植物の一つにホオノキがあります。高く伸びた枝の先端に大きな白い花を咲かせます。
大きな花の寿命は3日間です。開花一日目、雌しべの集合している中央部が開きます。この時、雌しべの下に集まっている雄しべは、まだ熟していません。夕方になると花は一度閉じます。二日目、前日開いていた雌しべは閉じていて、下の方で雄しべが熟して開きます。夕方には花を閉じます。三日目、もう一度花を開きます。この頃になると、花に触れると花びらが落ちたり、雄しべが落ちたりするようになっています。雌しべ、雄しべの熟す時期をずらすことで、同じ花の花粉で受粉することを避けているのでしょう。花に蜜はありませんが、豊富な花粉を求めて虫が集まります。虫を呼ぶために、開花している花からは強い芳香が辺り一帯に漂います。
花の後、ちょっとグロテスク?な果実が出現します。中に潜む赤い種子ですが、都市近郊ではカラスが種子散布に貢献しているとの報告があります。
大きな葉は抗菌作用があり、朴葉餅や朴葉味噌など、地方の食文化の一端を担います。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)