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《森の植物の歳時記》 [57] 【キランソウ(金瘡小草)】
【キランソウ(金瘡小草)】
キランソウは日当たりの良い春の野原で、地面に張り付くように茎葉を広げて、紫色の花を咲かせます。時には石垣の隙間などで生育していることもあります。語源は諸説あってはっきりしていないようです。
別名ジゴクノカマノフタ(地獄の窯の蓋)と言います。民間療法で解熱、鎮咳、去痰に始まり、虫刺されからやけどに至るまで、あらゆる症状に薬効があるとされています。医者殺し、医者要らず、医者倒しなどと呼ぶ地方もあるようです。多くの薬効で病を治すということは、地獄の窯に蓋をして、人が亡くなることのないようにするという意味が込められているのでしょうね。
地面に放射状に茎葉を伸ばして、地面からの熱を十分に受けて育ちます。種子にはアリが好むエライオソーム(脂肪酸やブドウ糖を含む付属物)があります。アリが種子を運んで分布を広げていると考えられています。石垣など、垂直な場所にはえているのは、アリが種子を運んだ結果なのでしょう。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)