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《森の植物の歳時記》 [55] 【ニリンソウ(二輪草)】
【ニリンソウ(二輪草)】
早春の雑木林を彩る植物の多くは、春に芽を出し、開花、結実、種子散布を行って、夏は姿を消して、種子あるいは地下茎などで次の春を待ちます。春のはかない命という意味で、スプリング・エフェメラルspring ephemeralと呼ばれるグループです。カタクリに代表されるのですが、ニリンソウもスプリング・エフェメラルです。
雑木林のちょっと湿った場所が好きで、緑の葉を一面に広げて、その中から花茎を二本出します。名前の由来です。花にはハナアブの仲間や小さな甲虫類が集まります。花に蜜はないのですが、沢山ある雄しべから出る花粉は虫たちにとっては、栄養豊富なごちそうのようです。時は春、昆虫の雌雄が花の上でのめぐり逢いを楽しむ姿を見ることがあるかもしれません。おじゃま虫にならないように、そっと見守りましょうね。
♬二人はニリンソウ…♬という歌がありました。二輪ばかりではなく、三輪出てきて咲いている株も見られます。ちょっと問題?などと下世話な話題で盛り上がったりします。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)