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《ニッセイ緑のオンライン環境講座2022 「沖縄の海岸の植物」 講師:林 将之氏/樹木図鑑作家》
亜熱帯・沖縄の海岸には、本土とは違った個性的、奇妙、ユニークな植物がたくさん。今回は、沖縄本島で撮影した南国の代表的な海岸植物9種を紹介しましょう。サンゴの海ばかりでなく、海岸の植物にもぜひ目を向けてみて下さい。
※今回の環境講座の講師である林将之氏に写真・解説を提供いただいている「学校の木のしおり」の寄贈活動を展開中です。各学校毎にオリジナルで作成します。
ご興味ある方はこちらをご覧ください。↓
公式HP: https://www.nissay-midori.jp/topics/details/1174
1クサトベラ[草扉]
クサトベラ科の常緑低木。分布:南西諸島〜熱帯アジア。
沖縄や小笠原、東南アジアの海岸にもよく群生する高さ1〜2mの木。この木を見たら、南国に来たことを実感できる。トベラ科のトベラとは別の仲間で、葉もずっと大きく肉厚。花と実はいずれも1〜2cmほどで白色。
2ソテツ[蘇鉄]
ソテツ科の常緑低木。分布:九州南部〜中国南部。
高級な庭木という印象があるが、沖縄では海岸の岩場にもよく生えている。針のような葉と黒い幹が特徴。有毒樹木だが、戦前戦後の食糧難の時代は、実や幹を毒抜きして食べ、毒にあたって死者も多く出たという。
3グンバイヒルガオ[軍配昼顔]
ヒルガオ科の多年草。分布:九州南部〜世界の熱帯。
沖縄のビーチに行けば必ずと言っていいほど砂地をはっている、ほふく性の植物。アサガオに似たピンク色の花を、ほぼ一年中咲かせて目立つ。先がくぼんだ葉の形が独特で、軍配の形に似ることが名の由来。
4アダン[阿檀]
タコノキ科の常緑小高木。分布:奄美〜東南アジア。
海岸によく群生し、葉や幹にトゲのある植物。大きな実がオレンジ色に熟すので、多くの観光客が「パイナップルの木」と勘違いするが、全く別の仲間。人はこの実を食べないが、ヤドカリやヤシガニがよく食べる。
5オオハマボウ[大浜朴]
アオイ科の常緑小高木。分布:南西諸島〜世界の熱帯。
沖縄では「ユーナ」の呼び名で親しまれる。葉はハート形で、裏は白い毛が密生しティッシュのような質感。そのため、昔からお尻を拭く葉として愛用され、トイレの近くに植えられた。花は黄からオレンジ色に変わる。
6
スナヅル[砂蔓]
クスノキ科の多年草。分布:九州南部〜世界の熱帯。
葉は退化してなくなり、黄〜緑色の茎がラーメンのように伸びる奇妙な植物。茎は他の草木に絡んで寄生し、栄養を吸収する。ラーメン文化のない沖縄では「ソーメン草」とも呼ばれ、砂浜に広がった光景がよく見られる。花は白色で小さく、実は黄緑色で丸い。
7
イソフサギ[磯塞]
ヒユ科の多年草。分布:和歌山や鹿児島〜台湾。
名の通り、磯の岩をふさぐようにマット状に張りつくユニークな植物。葉は肉厚で密集し、その上に赤や黄色の花が咲く。波をかぶる場所に生えるので、海水の塩分から身を守るためこんな姿になったのだろう。
8ハリツルマサキ[針蔓正木]
ニシキギ科の常緑低木。分布:奄美〜東南アジア。
マサキの仲間で枝にトゲがあり、岩上をつる状にはうのでこの名がある。夏〜冬に赤い実がなり、時にハート形になる。沖縄では生け垣や盆栽にされ、近年は「ハートツリー」の名で本土の園芸店で販売されることもある。
9イソマツ[磯松]
イソマツ科の常緑小低木。分布:伊豆諸島や小笠原、南西諸島。
波しぶきがかかる岩に生える高さ10cmほどの木。草にも見えるが、年数を経ると曲がった幹ができ、マツにも似た姿になる。沖縄本島の個体は花が黄色い(変種ウコンイソマツ)が、伊豆諸島や八重山諸島の個体はピンク色。
10番外編・軽石
現在沖縄の海岸には、小笠原の海底火山から噴出した軽石があちこちに漂着している。実はこうした出来事は世界各地で起きており、多孔質(穴が多い)の軽石は外洋の生物を新たに運び込み、汚れを吸着する効果もある。軽石は次第に砕けて細かくなり、沖縄の海と砂に混じりつつある。