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《ニッセイ緑のオンライン環境講座2021 第4弾 「道東の絶景と植物」 講師:林 将之氏/樹木図鑑作家》
道東=北海道東部は、日本有数の雄大な風景が見られるエリアです。今年7月に取材した、道東の絶景と植物をご紹介しましょう。
まずは日本最大の湿原・釧路湿原。山手線がすっぽり入るほどの広さで、展望台からの眺めは、不思議とキリンでも出てきそうな、壮大な草原風景です(写真1)。
道沿いにピンクの穂状の花が多数咲いていたら、そこは湿地と推測できます。湿った場所を好むホザキシモツケで、夏の釧路市周辺ではあちこち目につきます(写真2)。森の木陰で時々目にする紫色の花は、猛毒のトリカブトの仲間。シカが多い森ほどよく残っています(写真3)。
釧路湿原を流れる釧路川の源流をたどると、屈斜路湖にたどりつきます。湖畔にはハルニレ(写真4)やヤチダモの大木が茂り、水源の大半が湧水という澄んだ湖です。カヌーに乗って、美しい水草・バイカモが見られる釧路川を下るツアーも人気です(写真5)。
道東随一の大自然といえば、世界遺産に指定される知床半島でしょう。標高738mの知床峠からは、高山植物のハイマツ越しに国後島まで見渡せます(写真6)。麓にある知床五湖では、トドマツやミズナラの森を散策でき、ヒグマが頻繁に出没する場所としても知られます(写真7)。
ドライブにオススメなのは、網走市にある「感動の径(みち)」。緩やかな丘にジャガイモや麦類、てん菜などの広大な畑が広がり、一列に植えられたカラマツの防風林とともに、北海道らしい田園風景を楽しめます(写真8)。
鶴居村にある「畑の中の一本桜」のように、ポツンと残された孤立木も印象的(写真9)です。なお、北海道で一般に「桜」と呼ばれ親しまれているのは、花色が濃いオオヤマザクラ(エゾヤマザクラ)です。
オホーツク海に面するサロマ湖や能取湖の周辺には、色とりどりの野草が咲く海岸草原が広がります。しかし、今夏は記録的な少雨と高温で、多くの草木が茶色く枯れかかり、まるで乾燥地帯のような風景になっていました。そんな中、能取湖畔の砂丘では、ハマナスがたくましく花を咲かせていました(写真10)。
深刻化する異常気象を肌に感じながらも、壮大な自然を堪能できる道東は、やはり魅力にあふれています。
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